2026年10月21日21:55、日本の総理大臣が極めて異例なコメントをXで発信した。

「皆様に、今夜対応して頂きたい大至急のお願いです。」という言葉から始まり、PHPセキュリティチームが重大な2件の脆弱性(専門用語では「CVSS 9.2」という脆弱性を10段階で表したときに極めて危険である状態を指す。今回は2件とも9.2という緊急を要するもの)に関する注意喚起を行っていること、そして10月21日23:00に公開される修正パッチ(プログラムのこと)を可及的速やかに適用できるように準備することを促す旨の投稿がありました。

現役の総理大臣がこのような内容の投稿をすることは極めて異例です。

数年前までIT業界に身を置いていた立場から申し上げます。

「高市総理、グッドジョブーーーー!!!」

PHPというプログラム言語はWEBサイトの裏で動くプログラムで、通販サイト、予約サイトなどで使われている言語です。また手軽にホームページを作成できるWordPressでも使われているプログラミング言語です。個人でホームページを持っている方も関係がある話です。

自前でWebサーバを持っている企業については情報システム部門が本件の対応に当たっているかと思います。Xを見ると、徹夜作業していたエンジニアもいるそうで、大変だと思います。中小企業や個人でホームページを開設している方はホスティングサービス事業者がPHPの修正プログラムの対応をしているかと思いますが、古いバージョンのPHPには対応していないので、ホスティング事業者からのお知らせ内容を確認することが必要です。私も管理しているホームページの対応をエンジニアに依頼し、PHPのバージョンアップ、修正プログラムのパッチ対応など対応してもらいました。

大手企業では、予約システムや通販システムなどを稼働させており、1秒たりともサービスを止めたくないため、今回の件を軽視している経営者もいるかもしれません。私も以前担当していたクライアントでセキュリティ上の重要な欠陥があり稼働中のサービスを止めるか止めないかの議論の場にいた際に、経営層から「次の機能追加の時に一緒にやればいいじゃないか」という意見もありました。稼働中のシステムに修正プログラムを反映させる際のシステムテストにもそれなりの工数がかかりますからその気持ちもわかります。しかし、今回のようなCVSS9.2レベルの脆弱性が指摘されている時に、顧客情報を守るためにも、高市総理のこのXでも発言は現場技術者が仕事を進める上で最大の後方支援になったと思います。

一部「皆様」という表現が、大袈裟ではないか、国民の不安を煽っている、という投稿もありました。これは私の憶測ですが、ITの知識がない方が高市総理のこの投稿を見て「PHPとかいうのがヤバいらしい。準備しろってどういうことだ」とよく内容を調べずに、スパムメールで「PHPのセキュリティ対応はこちら」という内容でフィッシング詐欺に誘導されるURLが表示されていたらうっかり踏んでしまうこともあるかもしれない、と思いました。スパムメールも生成AIを使えば、自然な日本語で、人間の心理を突いた巧みな誘導を行う文面を作成できることができます。そうした手口についても知ることが重要です。

それを加味しても、今回の高市総理のXの投稿はタイミングも、XというSNS(ITエンジニアに一番届くSNS)、シンプルでありながら緊急性と重要性を伝えるシンプルな文面、素晴らしかったと思います。Xにはエンジニアからの称賛のポストもたくさん見られます。

総理大臣がシステム運用に関わるエンジニアが仕事をしやすいように配慮する。日本の政治も変わってきたなとうれしく思います。