継続就労・継続保育による出産要件見直しへ一歩前進!

【大田区の保育問題】「継続就労」なのに退園の危機?認可外からの進級移行の壁と、共働き多子世帯のための制度見直しに向けて
東京都の2025年の出生数は前年から857人増え、8万5,064人となり10年ぶりの増加を記録しました。大田区においても、出生届出件数は令和6年度の4,318件から令和7年度は4,438件と120件増加しており、区の子育て支援政策の確かな成果として高く評価されています。
しかし一方で、フルタイムで働く共働き世帯からは「希望した園に入所できなかった」という悲痛な声も多く寄せられています。そこには「利用調整指数」の厳しさと、認可外保育園から認可保育園への移行時に立ちはだかる「制度の壁」が存在します。今回は、令和8年第2回定例会での一般質問の内容をもとに、大田区が直面している保育課題と、他自治体の先進的な取り組みについてまとめました。
 
フルタイム共働き(合計22点)でも立ちはだかる「進級移行の壁」
大田区において、夫婦ともにフルタイムで働いている場合の利用調整指数は「合計22点」となりますが、この点数であっても人気の認可保育園に入所するのは難しく、やむを得ず認可外保育園を利用しているご家庭も少なくありません。
ここで問題となるのが「3歳の壁」です。認可外保育園の中には3歳児クラスがない園もあり、年齢が上がると認可保育園へ進級・移行せざるを得ないケースが発生します。
 
「ずっと働いているのに新規入所扱い」という制度の矛盾
最も深刻な課題は、これまで継続して就労し、保育施設を利用してきた家庭であるにも関わらず、認可外保育園からの進級移行が形式上「4月からの新規入所」として扱われてしまう点です。
もしこの移行のタイミングで新しい命を授かった場合、妊娠の報告や出産のタイミングによっては利用調整指数が大幅に下がってしまいます。その結果、待機児童の家庭の指数を下回ると「その月で退所(退園)しなければならない」という過酷な状況に追い込まれてしまうことがあるのです。
 
他自治体に学ぶ、柔軟で実態に即した支援策
この「形式上の新規入所」による不利益を解消するため、近隣の他自治体ではすでに実態に即した柔軟な制度見直しが進んでいます。
  • 武蔵野市の事例 4月の新規入所直後に育休を取得した場合でも、「認可外保育施設や幼稚園からの転所児」など特定のケースに該当すれば「実質的な保育の継続利用」とみなす明確なルールを設けています。これにより、生まれた下のお子さんが1歳になる日の前日まで、保護者が育休を取りながら上の子を継続して在園させることが可能になっています
  • 世田谷区の事例 入所前から認可外保育施設等で継続して週5日・フルタイム等の就労実績がある場合、入所直後の出産・育休に対しても機械的な退園処分を行わず、「実質的な継続保育」として扱う実態重視の運用を行っています。また、自営業など法律上の育休が取れない場合でも、産後「みなし育休」として下の子が1歳を迎える年度末までの継続在園を認めるなど、手厚い保障を行っています
  • 江戸川区・足立区の事例 さらに先進的な例として、「新規入所か在園児か」という区別(ルールの壁)自体を撤廃する動きもあります。「入所後2ヶ月以内に復職しなければ退園」といった一律の縛りを見直し、上の子どもの保育の必要性や環境変化への配慮を最優先して、育休期間中の在園を認める運用へとシフトしています
大田区が目指すべき「子育てナンバーワン」の姿とは
鈴木あきまさ区長のもと、「子育てナンバーワン」を掲げる大田区にとっても、こうした他自治体の事例は非常に参考になるはずです
 
実態としては「継続して働き、継続して保育を利用している」ご家庭や、「産後1年以内に復職を予定している」ご家庭が、単に認可外卒園に伴う移行だという理由だけで「形式上の新規入所(出産要件家庭)」として扱われ、退園の危機に晒される現状は改善が必要です。
 
共働きで多くの子どもを育てたいと願う「多子世帯」のニーズに合わせ、大田区でも実態に寄り添った柔軟な制度設計・ルールの見直しが強く求められています。安心して仕事と子育て(特に2人目、3人目の出産)を両立できる環境づくりに向け、今後の区の対応と制度改正に期待が高まる中、令和8年第2回定例会において一般質問し、区からも「
他自治体の事例を参考に制度の整理し、見直しを図っていく」と前向きな答弁を引き出しました。
これをきっかけにして、大田区の共働き世帯が子育てしやすくなることを強く願います。